銀の食器。
年代モノのワイン。
顔が埋まるほどの大きなホールケーキ。
煌びやかな電飾の施された巨大なツリー。
ありったけのリボンと星型と雪綿で飾りつけられたデコラティブな空間。
「で。なにが言いたいわけ?」
「Merry
x’masと」
「は!」
流暢な発音で祝いの単語を口にした男の顔面に向かって、月は鼻先で嘲笑ってやった。
「悪趣味だな。神の誕生を祝う日か」
「日本の世間一般では恋人同士の日だそうですが」
「ますますもって悪趣味だ。そして僕らにはひとかけらも関係ない」
月が居るのは閉ざされたちいさな世界。窓のない白い部屋。存在するのはふたりきりの人間たち。
いったい何を祝うって?誰とだれが、なんだって?
「たまには華やかにしてみるのもいいでしょう。気分も変わるでしょうし」
「だったら僕も着飾らせてくれないかな。裸じゃさむい」
「空調は完璧です」
「…そうだね。今日がクリスマスなんだとオマエが言わなかったら、
僕はいまが冬である事すら、もう分からなかった」
時間も日にちもとうに無くした。年齢も、日常も、過去も、未来も、祝日をともに過ごす大切なひとたちも。
なにもかも。
そして目の前にいるのは月にとって全く意味の無いたったひとりの男。
「服をプレゼントしましょうか。一張羅のスワローテイル。それともいっそドレスでダンスを」
「最高の悪趣味だ」
「男が服を贈る意味はご存知ですか。脱がせるためですよ」
ウンザリして口をききたくすらない。月は唇も瞼も閉じた。
その月の唇と瞼は、シュルリ…という衣擦れの音とともに、長いリボンで塞がれた。
男の指先によって。
「スワローテイルもドレスも今から誂えたのでは間に合いませんから………
今年はコレで、貴方を綺麗に飾りましょう」
両手首を頭上にまとめて縛めるリボン。両脚を開いてベッドの支柱に固定するリボン。
スルリと、軽く頚に絡まるリボンの、冷たい感触。
その一方は、男の頚へ。
熱と肉と皮膚とでふたりが繋がったあと、頚に巻いたリボンは、男が動けば月の頚を絞める。月が喘げば男の咽喉が
噎せる。
「ホラ。私たちを結びつける聖なる夜にふさわしい」
しあわせそうにわらう男の声。全身に巻きつく色鮮やかなデコラティブの狂喜。
閉ざされた世界で飼い殺される神を祝うにふさわしい演出。
「メリークリスマス。キラ」
射精する瞬間に囁かれて、それでイった。月は涙をながし痙攣しながら、この頚のリボンが本当に自分を絞め殺して
くれたなら、
それはどんなにか嬉しいプレゼントだろうと。
願い事はただひとつ。欲しいモノもただひとつ。
でもこの世界には神もサンタもいないのだけれど。
「ribbon」

「アネクメーネ」 管理人 アリスレオ様 より
メリクリフリーイラストを頂戴しました。ありがとうございました!
あのこれ…アリス様には無断・無許可で勝手に私がつけたssですので…
後ほど下げるかもしれませんので…
てゆうかアリス様ホントすみません…今とりあえず謝っておこう…。
↓
OKいただきましたこんな甘く綺麗な素敵絵に申し訳ありませんアリス様…!